結論:標準偏差は「分散の平方根」
分散と標準偏差は、データの「ばらつき具合」を表す統計指標です。分散は平方されているため単位がデータと違うのに対し、標準偏差は分散の平方根でデータと同じ単位で表せます。テスト偏差値・株価ボラティリティ・品質管理など実生活の多くの場面で標準偏差が使われます。
この記事で分かること
- 分散と標準偏差の数学的定義
- 「平方する理由」と単位問題
- テスト偏差値の計算原理
- 株価・経済指標での使い方
- 分散の加法性とポートフォリオ理論
1. 分散の定義式
n個のデータ x1, x2, ..., xn の平均を μ とすると、分散 σ² は次のように定義されます。
「各データと平均の差を二乗した平均」が分散です。
2. 標準偏差の定義
標準偏差は分散の平方根です。
3. なぜ平方するのか
「平均との差」を単純に足すと、プラスとマイナスが打ち消し合って常に0になります。絶対値の代わりに平方することで、すべての差を正の値にし、数学的にも扱いやすい指標になります。
4. 例題で計算してみる
テストの点数が {60, 70, 80, 90, 100} の5人の場合
平均 = (60+70+80+90+100)/5 = 80
偏差² = (-20)² + (-10)² + 0² + 10² + 20² = 400+100+0+100+400 = 1000
分散 σ² = 1000 / 5 = 200
標準偏差 σ = √200 ≒ 14.14
5. 単位問題
テストの点数が単位「点」なら、分散の単位は「点²」と表現がややこしくなります。標準偏差は「点」と元のデータと同じ単位で表せるため、実用的に分かりやすいのです。
6. テスト偏差値の計算原理
偏差値は、自分の得点が平均からどれだけ離れているかを標準偏差を単位として表したもの。
偏差値 = 50 + 10 × (自分の点 - 平均) / 標準偏差
平均通り = 偏差値50、+1σ = 偏差値60、+2σ = 偏差値70
7. 株価ボラティリティと標準偏差
金融では、株価のリターンの標準偏差を「ボラティリティ」と呼びます。値が大きいほどリスクが高い。年率ボラティリティ20%なら「1年間に±20%程度動くことを覚悟すべき」という意味。
8. 品質管理(シックスシグマ)
製造業では平均から±6σの範囲を「許容範囲」と定める手法(シックスシグマ)が広く使われます。100万個のうち不良が3.4個未満になる管理基準で、トヨタやGEなどで採用されています。
9. 分散の加法性
独立な確率変数 X, Y について、分散は加法的です。
標準偏差は単純に足せません。ポートフォリオ理論でも、複数銘柄の分散の和→平方根を取って全体の標準偏差を計算します。
10. ガチャ確率における標準偏差
排出率 p のガチャを N 回引いたときの星5獲得数 X は二項分布 B(N, p) に従い、Var(X) = Np(1-p)、SD(X) = √(Np(1-p))。たとえば p=1%, N=100 なら期待値 1.0 体、標準偏差 0.995。実際に当たる数は「1±0.995体」くらいのバラつきがある計算です。
よくある質問
Q. 標準偏差と分散はどちらを使うべきですか?
A. 実生活で「ばらつき」を直感的に伝えるなら標準偏差。数学的・統計的な計算式の中では分散が使われます。両方とも同じ情報を持ちますが、単位と用途で使い分けます。
Q. 分散と標準偏差で『大きい』『小さい』はどう判断する?
A. 絶対値ではなく、データの平均との相対値(変動係数 = SD/平均)で判断します。同じ標準偏差10でも、平均100なら10%、平均1000なら1%とまったく意味が変わります。
Q. 『標本分散』と『母分散』はどう違う?
A. 標本データから計算するときは「n-1」で割る(標本分散)、母集団全体なら「n」で割る(母分散)。標本分散の方が母分散の不偏推定量になります。
Q. 標準偏差はどんな分布でも同じ意味ですか?
A. 計算自体はどんな分布でもできますが、『68%が±1σに入る』という解釈は正規分布前提です。一様分布や偏った分布では別の指標(四分位範囲など)が向いている場合も。
Q. Excel で標準偏差を計算する関数は?
A. 母集団なら STDEV.P、標本なら STDEV.S を使います。古いExcelの STDEV は STDEV.S と同じです。
まとめ
この記事のポイント
- 分散はデータ - 平均の差の二乗の平均
- 標準偏差は分散の平方根(単位がデータと同じ)
- テスト偏差値は標準偏差を基準とした位置指標
- シックスシグマは±6σの異常検知基準
- 独立変数の分散は加法的(標準偏差は加法的でない)
この記事の監修者
確率計算シミュレーター編集部
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